高校生でアトピーが悪化し、脱ステロイド、温泉療法、その他様々な民間療法を試しました。その後、一大決心をしてアメリカで治療を受けたことが転機となり、アレルギー免疫療法等のおかげで、長年のアトピーから解放されつつあります。そんな私の個人メモです。
私がアレルギー免疫療法を始めたのは、アメリカでアトピーの治療を受けた時です(詳細は「アトピー渡米治療」をご参照ください)。ベイカー先生というアレルギー専門医に作ってもらったアレルゲンワクチンの注射を帰国後も続けていたのですが、アレルギーの症状が治まらないため、久我山病院アレルギー科の長屋先生を訪ねることにしました。
長屋先生は、アメリカで30年間アレルギーの専門医としてアレルギー免疫療法に従事されてきた方です。そして、日本でもこの有効な治療法を普及すべく、暮らしなれたアメリカを離れ、20年ほど前に日本に戻っていらっしゃったそうです。
70種類程度のアレルゲンの検査をした結果、ベイカー先生のところで判明したダニ、カビ、ハウスダスト以外に、スギ花粉、ゴキブリにもアレルギーがあることがわかりました。
長屋先生はベイカー先生の治療について、他の患者さんからも聞いているようで、ある程度ご存知のようでした。長屋先生の見解では、アレルゲンワクチンは濃いものを注射しないと十分な効果は期待できないということでした。ベイカー先生の作るアレルゲンワクチンは、日本のアトピー患者向けに非常に薄い濃度で作られています。というのは、日本のアトピー患者はアレルギーの強い人が多く、一般的な濃度の注射をするとアトピーが悪化してしまう傾向があるからということでした。アメリカでも、アレルギー免疫療法は基本的にぜんそくや花粉症の患者を対象に行われており、アトピーの症状に対して行うことは一般的ではないようです。
長屋先生には、親身に相談に乗っていただき、とりあえず治療を開始してみようと思いました。効くかどうかはやってみないとわかりませんし、日本一のアレルギー治療を行っている先生に診ていただけるのは大きなチャンスではないかと思ったのです。もしアトピーが悪化するようなことがあれば、その時点で治療を中断すれば良いわけです。ということで、早速長屋先生のもとで治療を開始しました。なお、ベイカー先生の治療も並行して問題ないということですので、こちらもやめずに続けています。
注射は少なくても週に一度は打ってもらう必要があります。毎回注射後に反応を確認し(腫れなど)、反応が弱ければ次回の注射で量を増やします。逆に反応が強ければ、反応の強さによって、次回は量を減らすなり、同量にするなりします。そしてある程度の量を打てるようになったら、より濃いアレルゲンワクチンに代え、少量からまた少しずつ量を増やしていきます。
驚いたことに治療開始後、たった3ヶ月で急に顔、首の赤みがすっとひきました。目の腫れや鼻炎症状はもっと前から落ち着いてきました。そして肌のかさつきが取れ、柔らかい肌質に変わりました。その後、多少赤みやかゆみが出ることもありますが、しばらくすると自然にひき、慢性的なアトピー症状はなくなりました。注射を打てば打つほど効果を感じ、明らかにこの注射でアトピーが治っていく実感を得ました。
今もまだアレルゲンワクチンの濃度を上げている段階です。当初よりはだいぶ濃くなっているため、注射後の反応(腫れなど)も結構強く出ますので、同じ濃度、量のワクチンを続けて何回も打つこともあります。ある程度の濃度、注射量まで到達すれば、月に1度程度の注射でも大丈夫になるようです。
このように、私には非常に効果があったアレルギー免疫療法ですが、この治療で必ずアトピーが良くなるとは言えません。長屋先生は皮膚科医ではなく、久我山病院でアレルギー免疫療法を受けている患者さんの多くは喘息の患者さんです。この治療法は、喘息には極めて効果があるようで、生死をさまようほどの重症の方が、先生の治療を受け始めてからは一度も発作がないというようなお話を患者仲間からよく聞きます。
しかし、アトピー性皮膚炎の原因は複雑なため、アレルギー免疫療法によってすんなりと治るというものでもないようで、私のように著効した例はそれほど多くないのかもしれません。私の場合は、渡米して総合的なアトピーの治療を受け、最後に残ったのがアレルギーだったのかもしれません。ただ、アレルギーの根本治療としては極めて効果の高い治療法ですので、今後日本でも普及していくことを切に願っています。
Designed by CSS.Design Sample